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zoom RSS 【映画】東京フィルメックス「カナリア」

<<   作成日時 : 2004/11/21 08:44   >>

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11/20 東京フィルメックス オープニング特別招待作品「カナリア」鑑賞@朝日ホール。

オープニング1本目。
「月光の囁き」「害虫」そして最近では「黄泉がえり」でメジャー進出もした塩田明彦監督の最新作。
作品としては「害虫」に戻った独創性あふれる塩田世界を展開。

無差別テロ殺人をおこなったカルト教団から保護された12歳の少年光一。
光一が祖父母の元に引き取られ離れ離れになった妹を奪い返すために、大阪から東京へ向かう旅路を描く。
旅の途中で出会う少女由希。彼女も母親を亡くし父親から暴力を受ける生活に嫌気がさし、光一の旅路に同行する。
幼い二人の男女の道行きと、光一の教団生活をカットバックしながら見せる問題作。

簡単なあらすじからも読み取れるように素材は地下鉄サリン事件とその教団。
しかし、その事件そのものを追うのではなくあくまでも自分の意思ではなく入信させられ、母子家庭なのにそのかけがいのない母親とも別々に生活しなければいけなくなった主人公。
その母親と妹への愛情を話の中心に置き、決して特別なものではない世界として描く。

映画の内容の詳細部分に触れると直接ストーリーに触れてくるので極力触れぬように感想のみ記述したいと思うが、家族の物語として世界を構築しているところが素晴らしい。
あくまでも事件や教団はその背景でしかなく、教団の生活もそして事件後の厳しい世間の現実も同じ視点から描かる。主人公からみればそれは妹そして愛する母親との距離を遠くするものでしかない。
ただ一緒にいたいという想いだけが彼の行動の原動力。教団の教えに従うのも、保護後に無心にマントラを唱えるのも母親や妹への想いのみでやっているという現実。
そしてそれを異端とし排除のみで接する親族や世間。
孤独に戦う主人公の切ない想いが響く。
そして同世代で同様に現実に切ない思いを抱く少女。寡黙な少年とは反対に多弁な少女だが、その胸に抱える孤独と想いは少年と共振していく。

ティーチイン時に林Pも言っていたが、この世界は誰にでもどこにでもありうる世界。
決して特別なものではないんだと映画は言う。
旅路の終わりで少年の心に訪れる決別と諦念と変化。そして圧倒的にシンプルな少年のこれからの行く末への宣言。
ハッピーエンドという人もいれば、辛いエンディングだという人もいるであろう。
自分は辛く厳しいエンディングだと受け止めた。見た他の人はどうだろう。

技術的な部分に目を移すと、まず主人公二人の石田法嗣・谷村美月の力強い演技がこの作品の柱であることは間違いない。二人の強いまなざしが作品をより強くしている。
そして揺らぎ止まり見つめつづける撮影。河瀬直美・是枝裕和らの作品を撮る山崎裕の熟成して透明なカメラがこの映画をリアルであるが夢のようにも見せる。
「害虫」でも使われたナンバーガールの向井秀徳のエンディング曲は、世界に向かっていく子供たちを効果的に彩る。

作品としては非常にリアルな世界を描く。全体の感触はリアルなのだが、映像・展開・演出という部分で見ていくと自分的にはリアルなのだが寓話世界を描いているような触感が残る。
現実ではないという意味ではなく、間違いなく現実なのだが寓話のようにこの世界が見えてくる。
教団の内部も今自分がいる世間一般(個人的には一般的なんてのは無いと思っているんだが)という世界も変わらないのではという距離感か。
より物語性を際立てる手段として取った旅行きでのいくつかの偶然が、作品に寓話的要素を与えているためか。
しかしいずれにせよ非常に説得力があり、心にずしりと来る作品だったことには間違いない。

ラスト彼が発する一言。この言葉の重み。びしっと心にはいってきました。
で評価★★★★(4.7くらいあげられると思います。さすがフィルメックスというオープニング。)

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